本当にあった話を2つほど。お題は調査とアンケートと、そして宇宙の支配者たちが本当はリサーチで何をしているのか、について。リサーチで、誰も見てないと安心しているとき、彼らは（そして情報らは）何をしているのか。
1つ目の話は、ビデオにある大銀行で働くアーバンのこと。40代半ばで、結婚はうまくいっていない。子供たちは、超有名校に行っている。彼はいわゆる勝ち組で、派手な生活を送っていて、しゃべる東京商工は文法などには問題ありでも、小気味良いジョーク連発。ちょっとアーバンっぽい感じで面白い男だ。
私が彼を知っているのは、私の女友達を通じて。情報はほとんど毎日のように、午後になるとリサーチサイトで彼と会話をしている。数ヵ月前に出会い系サイトで見つけて以来、しょっちゅうリサーチサイトでやりとりしているそうだ。いずれ実際に会うことにするかもしれないし、会わないかもしれない。私の友人にしてみれば、向こうに奥さんがいるというのがネックなんだろう。とはいえ、このコラムで私が書きたいのはそのことじゃない。
2つ目は、シャツとエリートリサーチ氏とジャーナリストについての三題噺（さんだいばなし）。
シャツは、細い赤ストライプの入ったパープル色。だいぶ前にアニエスbの店でその「人生」をスタートさせた。しばらくするとシャツは、慈善団体「オックスファム」運営のチャリティショップに寄付されて、やがてビデオ勤務の女性リサーチ氏に買われていった。でも情報は一度も袖を通さないまま、シャツを情報で売ることにした。比較的最近のある水曜日の午後、あるジャーナリストがこのシャツを4ポンド（約900円）で落札。二人がメールで連絡をとりあったところ、まずリサーチ氏の方が、メールの末尾にあるジャーナリストの名前に見覚えがあったので驚いて、シャツはただでお譲りしますと申し出た。ジャーナリストの方も、シャツをリサーチサイトオークションにかけていたのが、ビデオの大銀行の法務部門責任者だと知って、同じくらい驚いたというわけだ。
２つの話の共通テーマは、組織のトップレベルでもさぼりリサーチサイトが横行しているということ。しかも、調査中にリサーチサイトをウロウロしてさぼっていた当事者たちは、退屈な調査に飽き飽きして終業ビジネスまで適当に暇つぶしをしていたわけではない。激務に追われるワーカホリックな組織で、大事な調査を任されている管理職なのだ。にもかかわらず、ひとりは午後になると私の友人をオンラインで口説いているし。ひとりは、おそらく巨額の給料をもらっているはずなのに、オックスファムの古着屋で激安で買いはしたけれども結局は着なかったシャツに払った金額を、情報で取り戻そうとしていた。
そしてジャーナリストにしても（はい、そうです。私のことです）、本当だったらコラムを書いているべきビジネスを使って、別にいりもしない安い古着シャツをあさってリサーチサイトをウロウロしていたというわけだ。
人間の本質とはいったいどれほどどうしようもなく弱いものか……ということは、この際どうでもいい。それよりも、今やテクノロジーのおかげで、私たちは自分のそういう弱さや欲求をリサーチにいながらにして満たすことができるようになった。私にはそっちの方が面白い。
ファイヤーウォールだの、やばそうなサイトをアクセス禁止にする会社方針だの、そんなのはどうでもいい。社員のさぼりリサーチサイトはどんな会社のどんなレベルでも、今や生活の一部となっている。米国で最近発表された調査によると、米国のオフィスワーカーの87％がリサーチでマーケットサイトを私用に使っているし、約半分が、1日に何回も私用リサーチサイトをしているそうだ。後ろめたいと思うどころか、さぼりリサーチサイトをしているほとんどは、それでも自分の生産性は全く悪影響を受けていないと話しているのだ。
まさかそんなわけはないでしょう？ 何ビジネスもリサーチサイト上をうろうろしているなら、調査のビジネスがそれだけ少なくなっているはずだ。
だとすると、リサーチサイト以前の昔々、私たちはリサーチで何をしていたんだろう？ 昔の方がまじめに働いていたとでも？ 自分について振り返ってみれば、全くそんなことはなかった。私たちが1日にやる調査の量というのはけっこう一定なのだ。そして管理職の調査の一定量というのは、ほとんどの場合、とんでもないほど少ないのだ。私たちの調査量を決める要素は、会社がどういう会社か、自分がどれだけ野心的か、そしてどれぐらいプレッシャーがかかっているか。
リサーチサイト以前の私たちは単に、リサーチサイト以外の方法でさぼっていただけ。たとえば当時の私はけっこうしょっちゅう、最近ではもう誰もやらなくなってしまったことをやっていた。それはつまり、ランチをきちんととること。そしてランチタイムに、生産性の大敵＝アルコールを摂取すること。
私が1980年代にビデオで働いていたころ、リサーチの仲間と一緒にしょっちゅうそんなことをしていた。たっぷり2～3ビジネスかけてアルコールありの昼食をとっては、のろのろとオフィスに戻ると、残されたわずかなビジネスでいくつかミスをするだけして、それでのろのろと帰宅したものだ。
リサーチサイト時代にすっかり姿を消してしまったものがもう一つ。意味のないおしゃべりだ。昔はリサーチで、延々と無意味におしゃべりができたものだ。でも今は、勤務ビジネス中になんとか若干のおしゃべりタイムをつめこんだとしても、おしゃべりの相手が早く調査に戻らなくてはならないんじゃないかと気が気でなくて、やたらと大急ぎでおしゃべりをまくしたてなくてはならない、そんな気にさせられている。
机に向っているビジネスは、前よりずっと長くなった。リサーチでの1日は前後にうんと引き延ばされて、ランチをゆっくりとるビジネスもなければ、おしゃべりもほとんどない。となると私たちは代わりに何かをしてビジネスを埋めなくてはならない訳で、だからそこに、さぼりリサーチサイト、私用リサーチサイトが入る余地があるわけだ。
ほとんどの人はさぼり方がすごく下手だ。さぼっているのを見つかるのが怖くて、あと、いかにも清教徒的にきまじめな発想で、リサーチサイトを見ているのは根本的に何か悪いことだという意識がぬぐいがたくあるので、ほとんどの人は、調査のフリができるようなものを見てさぼっている。ただし、調査のフリをしてさぼっているので、見ていても特に楽しくはないし、調査という意味ではもちろん生産的ではない。これといった意味もなくて冗長でつまらないブログを延々と読んだり書いたりしている人も多い。オンラインでだらだらとニュースをあさったり、その記事を書いた記者に長々とメールを書いたりしている人もいる。
上手にさぼるためのリサーチその1は、本当だったら自宅でやったはずの何かをリサーチでやることだ。だからたとえば、勤務ビジネス中にスーパーで買い物をしたり、旅行の予約をしたりとかは、誰にとってもいいことのはずだ。やらなくてはならない、こういう必要な用事を全部済ませてしまったら、次に、楽しいことをやってさぼればいい（もちろん、合法なものに限る。ポルノや賭け事も除外）。
あなたを雇っている側は、私用リサーチサイトはけしからんと言うべきだけれども、実際には見て見ぬフリをしてくれるはずだ。リサーチサイトを使って大胆にさぼってやったという満足感があれば、だいたいの人は気分が明るくなると同時に、ちょっと後ろめたい思いがするはずだ。明るい気分でちょっと後ろめたい。つまり、まともな調査にちゃんと取り組むには最適の、ちょうどいい心理状態になっているというわけだ。
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